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OECD東北スクールとは

50cc0ed5c2d38f5bb566f914d482fb1e.png 2011年3月11日、東北一帯を巨大地震が襲い、海から巨大津波が押し寄せ、沿岸部を中心に死者・行方不明者約2万人という甚大な被害をもたらしました。さらに翌日には東京電力第一原子力発電所が水素爆発を起こし、わが国初となる大規模な原発事故となりました。

 同年4月、OECD(経済協力開発機構、本部パリ)事務総長が来日し、東北の復興に協力することを約束しました。そして、文部科学省、福島大学と協議を重ね、復興教育プロジェクト「OECD東北スクール」(文部科学省復興教育支援委託事業)が生まれたのです。

 OECD東北スクールは、福島、宮城、岩手の被災地から中学生・高校生約100人を集め、2年半にわたる集中スクールと地域スクールを経て、「2014年8月、パリで東北の魅力を世界にアピールするイベントをつくる」という、プロジェクト学習をその内容としています。

 プロジェクトを支えるのは、文部科学省と地方教育委員会、外務省などの関連政府機関、NPOや企業・財団 などの関係団体で、福島大学に運営事務局を置き、顧問委員会(アドバイザリーボード)が様々な助言を行います。プロジェクトマネジメントを福島大学が行い、OECD教育局は、諸外国の教育先進事例や復興事例をとり入れながら、復興支援教育の中身を構築していきます。

 プロジェクトの目的は、復旧に留まらず「新しい東北・日本の未来」を考え、東北地方の経済活性化に必要な産業やイノベーションを生み出すための人材育成です。そのため、子どもたちが主体性を発揮し、地域の復興を考え、自らの考えを実行に移し、イノベーションを生み出す力を育むよう、さまざまに「仕掛け」をしていきます。例えば、子どもたちのリーダーシップ、企画力、創造力、建設的批判思考力、実行力、交渉力、協調性、国際性など。これらは、21世紀というグローバルな、多様性に富む、知識基盤型社会におけるOECDキーコンピテンシーと呼ばれています。長期にわたる復興に必要な持久力を養うため、一回完結型のイベントでなく、2年半のプログラムで、そのプロセスから学びます。

OECD東北スクールの目的

国際的な視野を備えた、東日本大震災からの復興の担い手を育てるプロジェクトです。

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OECD東北スクールは、福島大学が主催し、OECD(経済協力開発機構、本部パリ)、文部科学省が協力して展開する、国際的な教育復興支援事業です。
2011年8月から2014年8月までの長期的なプロジェクトです。
●2011年8月-2012年3月エビデンスに基づくフレームワーク設定のため、事前調査(文献調査・ヒヤリング調査・フィーザビリティー調査など)実施の後、2012年3月に、第一回スクールを開始しました。
●2012年3月―2014年8月:復興長期は渡るため、一回完結型の支援イベントでなく、長期フレームワークを設定しました。これは、創造的な復興に必要な力は、持久力、人間関係調整力、発想力、企画力、実行力、建設的批判力、自主性・自立性、国際性など、「プロセスから学ぶ力」が主なためです。
現在、福島・宮城・岩手から約100人の中高生が、約20人の引率者(教員、教育委員会、NGO)と協力しながら、ミッションを遂行しています。

「私達は、福島、宮城、岩手の被災地から集まった約100名の中高生です。私達はそれぞれ、津波で家族や家を失ったり、原発事故で故郷に帰れなくなったりした経験を持っています。この厳しい現実を乗り換え、希望ある未来を創造するためには、私達はもっと強くならなければなりません。初めて出会った第一回スクールで、私達を表すチーム名について、話し合いを重ねました。結果、人と人とのつながりが広がり巡ることを願い<チーム環>と名づけました。そして、私達を象徴するキャッチコピーも考えました。この震災を乗り越えて、新しい東北を創り、世界へアピールする決意を込めました。<僕たちは、過去を越えます。常識を越えます。国境を越えます。>です。」


震災後の現実の中で学んでいくプロジェクト学習です。

生徒のモチベーション向上や教育効果が高いと報告されているプロジェクト学習を導入しています。
●創造的な復興に必要な力は、21世紀型に必要な能力(=OECDキーコンピタンシー)に重なります。そういった力を育む効果が海外の研究で報告されているプロジェクト学習法を導入しています。
●子どもたちに与えられた「プロジェクト=ミッション」は、「復興した東北・日本の魅力を世界にアピールする国際イベントを企画・実行すること」です。


OECD東北スクールでは、主に、5つの柱(①自分で考える②対話・熟議する③創作する④あそぶ⑤実社会と交わる・体験する)を循環的に行っています。
OECD東北スクールは、3つの活動から成り立つプロジェクト学習です。1)集中ワークショップ、2)地域スクール、3)テーマ別活動です。

1)集中ワークショップは、春・夏2回、参加者全員で、対面で実施。国内外の著名人も参加し、「復興とは何か?」「イベントの中身で、(東北の復興の)何を伝えたいか?」「自分たちにとって、イベントの目的と目標は何か?」「世界の人を相手に、どうやって伝えるか?」「イベント実施には、いつ、誰が、何をしなければならないか」など、与えられたミッションを現実的に遂行するプロセスで、「批判的思考力」「企画力」「実行力」などを学びます。また、異なる地域からの参加者が対面で協働することにより、被災地内の異なる課題に目を向け、地域を超え、日本の未来を考え、そして世界へつながるコミュニケーションへと多重層に広がります。

2)地域スクールは、通年、地域の実情に合わせて、対面で、月1・2回を目途に開催。「地元・地域の復興を考え、参画する」ことを中心に活動しています。そこから、 「東北地方の経済活性化に必要な産業やイノベーションを創造する人材育成」へとつなげていきます。

3)テーマ別活動は、地域を超えた横断型で、遠隔と対面で実施。生徒自らが、プロジェクトのプロモーションを行ったり、自らの復興の軌跡をセルフドキュメンタリーとして記録したり、多くの企業やNPO、自治体、さらにはパリの関係機関がネットワークを形成しています。遠隔地同士のため対面で会うことが難しい状況での、ICTを使った遠隔協働力やネットワーク力を養うことも目的としています



多くの機関がサポートしています。

 OECD東北スクール運営事務局を福島大学におき、OECDと文部科学省による協力体制のもと、日常的な活動を支えています。
主役である「生徒」と「ローカルリーダー(引率)」を中心に、スムーズな連絡と協働のため、各会議を実施しています。
●生徒代表・ローカルリーダー・協力団体連絡会議
●各地域の生徒の直接的な指導を行う引率者のためのローカルリーダー会
●親や地域の代表者、教育行政や企業、大学研究者などの有識者からなるアドバイザリーボード(顧問委員会)
●参加自治体連絡会議
●文部科学省や外務省、OECD日本政府代表部、福島大学などからなるハイレベル円卓会議
 その他、東北域外の年齢も、経験もスキルも異なる人々が集まって生まれるソシアルキャピタルを活用するため、東北域外(国内外)の中高生や教育関係者、企業やNPOのプロ、研究者、関連省庁など、多くの機関や個人がサポートしています。彼らは、エンパワメント・パートナーと呼ばれます。それぞれの立場で、従来の様式や既存のモデルを超え、新しい取り組み(イノベーション)を目指す仲間です。

OECD東北スクールの参加生徒は、現在3県から12のチームが結集しています。2年半にわたる継続的な教育プロジェクトであるため、現在のところ新たな募集は行っておりませんのでご了承くださいますようお願いします。

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OECD東北スクールのプロセス

 OECD東北スクールは1)集中スクール、 2)地域スクール、3) テーマ別活動により運営されています。
 次のように開催されます。

1)集中スクール

  • 2012年から2014年までに5回の、1週間程度の集中ワークショップを5回開催しています。、多彩な講師による体験活動や熟議を行います。参加者全員の全体会となり、各回開催地と運営事務局とで共同開催します。参加者は、各地域や学校ごとにチームとして参加し、引率者も主要なメンバーとなります。

2)地域スクール

  • 集中スクールと集中スクールの間の期間に、各地域ごとに各地の実情に応じて地域スクールを行います。週末の活動や総合学習の一環として、また放課後の活動として月2回程度行われています。参加者だけでなく、周りの友人や社会人、新しい価値観を生むための国内外からメンターと交流し、進捗状況を話し合ったり、アイディアを出し合ったりしています。

3) テーマ別活動

  • パリでのイベントを開催するのために、以下の4つのテーマ別チームが構成されています。
    • シナリオチーム……2014年8月にパリで実施するイベントの基本的な構想を組み立てます。
    • 産官学連携チーム……2014年8月のパリでのイベントを成功させるために企業や行政、大学等との連携を行います。特に子供中高生たちが、学校や地域の枠を超えて、産業界、公共機関、大学等と協力しながら作業を進めるという具体的事例を持つことを目指しています。
    • コミュニケーションチーム……チーム〈環〉内のコミュニケーションと、外部に対する宣伝を行います。
    • セルフドキュメンタリーチーム……チーム〈環〉の活動の記録を行い、ドキュメンタリーとして編集します。
  • 各テーマ別チームには、チームリーダーがそれぞれアサインされ、テーマ毎に課題を話し合い、推進活動を行っています。またテーマに沿ったプロボノがアサインされ、<産学連携の学びの一つの形>として実験実施しています。また、<遠隔、協働学習の一つの形>としても実験中です。

4)2014年イベント

  • プロジェクトの最終ゴールです。けれどもすべてが準備されているわけではありません。自分たちで内容を考えたり、実施するための資金を調達したり、そのための広報活動を行ったり、自分たちの活動を記録したりと、様々な人々と協力しながら、ゴールをめざします。
  • イベント終了後⋯⋯イベント終了が東北スクールのゴールではありません。イベントを自らの地域の活動につなげ、個人の自立、地域の自立へとつなげます。

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OECD東北スクールの組織

スクリーンショット 2013-07-14 22.01.37.png OECD東北スクールは次のような組織で成り立っています。

●ハイレベル円卓会議

  • 文部科学省、外務省、OECD日本政府代表部、福島大学等の責任者からなり、プロジェクト全体への支援を行います。

●運営事務局

  • 福島大学内に置き、プロジェクトマネージャー、プロジェクトコーディネーター、事務局長、スタッフ(大学生・院生)などからなり、プロジェクトを管理・運営します。

●ローカルリーダー会議

  • 12のローカルチームの指導を行う学校の先生や教育委員会指導主事、NPOスタッフです。「シナリオ」「資金調達」「コミュニケーション」「セルフドキュメンタリー」の各担当の指導も行います。

●メンターチーム

  • 企業やNPOのプロからなるサポートチームです。上記の四つの機能の具体化を図ります。

●生徒チーム

  • 12のローカルチームから成り立ち、かつ全体リーダーと四つの担当に別れます。チーム名は〈環〉です。
    • 生徒リーダー会……全体を代表し、四つの機能を調整します。
    • シナリオ担当……2014年8月にパリで実施するイベントの基本的な構想を組み立てます。
    • 産官学連携担当……2014年8月のパリでのイベントを成功させるために企業や行政との連携を行います。
    • コミュニケーション担当……チーム〈環〉内のコミュニケーションと、外部に対する宣伝を行います。
    • セルフドキュメンタリー担当……チーム〈環〉の活動の記録を行い、ドキュメンタリーとして編集します。

●エンパワーメントパートナー(応援団)

  • チーム〈環〉を同世代からまた先輩として支える高校生や大学生です。現在東京チームと近畿チームが活動しています。

●OECD教育局

  • OECD東北スクールのカリキュラムや組織の基本設計を行い、常に国内外の関係諸機関との調整を行います。

●アドバイザリーボード(顧問委員会)

  • 行政や企業、研究者、学校関係者などで構成する組織で、運営に対してアドバイスを下さいます。