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OECD フォーラム(2014.5.1〜8)参加報告書


photo01.jpg1 はじめに


5月5日から6日にかけて、OECD WEEKにともなって開催されるOECDフォーラムに、OECD東北スクールの生徒釣巻洋子さん(いわき出身)と小山康平君(南三陸町出身)が招待され、事務局とともに参加してきました。OECDフォーラムは例年、タイムリーなテーマを軸に、OECD諸国によるセッションが開催され手いますが、今年のテーマは「レジリエンス」。強靱力や粘り腰などと訳されていますが、世界経済の低迷の中で、加盟各国が取り組むべき経済再生はまさに粘りが必要で、それはそのまま東日本大震災からの復興をめざす、私たちのテーマとも重なります。
パリへの出発前日の5月1日、小山君と釣巻さんはフォーラム会場で流されるビデオの英語のアフレコの仕事があり、昼頃集まりました。ほぼ1回でOKが出て、思いの外早く終わり、成田のホテルへ。翌2日にパリへと飛び立ちました。





2 パリ19区図書館との打ち合わせとOECDフォーラム事前準備

photo02.jpgフォーラム開催二日前の土曜日に会場を訪れ、OECD広報局と打ち合わせをしました。また施工中でしたが、すでに東北スクールのブールはできあがっており、その完璧な美しさに圧倒されました。それ以上に、フォーラム全体の案内にはしっかりと「TOHOKU SCHOOL」のロゴマークが配置されており、これだけでも一同感嘆の声をあげました。それだけ大きく取り扱われていることがわかります。

フォーラムを前に、昨年5月に交流したパリ19区図書館の皆さんとイベント本番に向けて打ち合わせを行いました。パリ側として具体的にどのように協力をすればいいのか、という質問をいただき、協議の結果、現在作成中の「100の物語」の仏訳をお願いすることにしました。日本の10代の若者のメッセージをパリ側の同世代の若者たちが読み解き、若者の言葉で翻訳することが本来の趣旨に合っていると考えたからです。







3.OECDフォーラムスタート!
フォーラムの初日、私たちも日本から持ってきた伊達のゼリーやポスターを配置し、パンフレット類を置いたりしました。オープニングには、児玉日本政府代表OECD大使、超党派OECD議員連盟会長の二階衆議院議員や東北スクールAB議長の原山優子氏、OECD東北スクールのもう一人の生みの親でもあるデボラ課長、国際的に広げていただいているアンドレアス・シュライヒャー氏のお顔も見られました。多くの方が興味を持ち、外国語で話しかけてきますが、これらに二人の生徒は臆することもなく、パンフレットなどを使って説明していました。
夕方には二人はウェルカム・レセプションやディナーでは、「日本の文化」を世界発信する体験をしました。特に「和食」は、世界で高い評価を受けていると実体験しました。その中でも、VIPの方々と肩を並べても劣らず、堂々と東北スクールをアピールしていました。



4.東北スクールのセッション

photo03.jpg翌2日は早朝8:30より、二人の参加するセッションから始まります。

もと教育訓練課長のDeborahさんは前日差し上げたユニクロのチームTシャツを着ての参加です。同じセッションにはGoogleのエンタープライズ部門日本代表の阿部氏、連合の古賀会長、国連・危機管理局のMargaretaさん、モデレータに日経新聞の編集局編集委員の滝田氏らの顔ぶれです。

二人の順番となり、冒頭梛木さんに製作したもらったビデオが流され、会場から大きな拍手が沸き起こりました。小山君から「戸倉の牡蠣は震災前は過密養殖のために質があまりよくなかった、震災後思い切ってこれをやめて養殖したら牡蠣の質がよくなった。レジリエンスというのはマイナスをゼロに戻すのではなく、マイナスをプラスに持っていくことだと思う」という発言がありました。

釣巻さんは「被災地は日本全国、海外からたくさんの支援をいただいた。しかし一部には支援に慣れてしまうような状況も生まれてきている。被災者にとって一番大切なのは自立だと思う」という発言があり、ともに大きな拍手をいただくことができました。会場からは「すごい高校生がいるもんだ」という声も聞こえました。



5.安倍総理との接見、林農林水産大臣との面談、その他

photo04.jpg続いて9:40から安倍総理が移動される動線上でのご挨拶の時間を、少々頂けるとのことで、足早に所定の場所に移動。ところが予定していた場所が急に変わることになりドタバタ状態。そうしている間に総理がエレベータで降りてきて、二人は接見することに。練習の甲斐もあってメッセージは総理に届き、秒刻みで予定が進行する中、総理からは予定になかった「写真を撮ろう」と声をかけて頂きました。
その直後の総理の記念講演に二人は参加することになっており、早足で移動。
後半総理は伊達の佐藤優里奈さんのメッセージを引用し、東北の若者が果敢に挑戦していることを全体に紹介しました。

photo05.jpg午後はフォーラム最後であり、またセッションや総理の演説のお陰でもあり、多くの方々がブースに立ち寄りました。夕方には
教育局広報担当のインタビュー。小山君の「船が安定していない時の、ゆれた状態の舟の漕ぎ方を学んでいます」の比喩には、メモをとっていました。
二人とも、それぞれ、個人の学習体験は語れましたが、ロゴの説明など、チーム全体にかかる質問を受けると答えられない場面もありました。本番前には、チームの一人一人が、イベントの詳細やこの学習プログラムについて、答えられるようにしなければならないと準備の必要性を感じました。

photo06.jpg最後に、林農水相のブース訪問がありました。予定10分の所、30分以上、会談くださいました。林農水相はその場で伊達ゼリーを召し上がって下さり(以前にも食べたことがあるとおっしゃっていた)、チームTシャツを着て「一緒に和食を世界に広げよう」と、サービスしてくださいました。ただ、実際に、イベント会場の食ブースで、農林水産省さんにご協力いただくには、フォローアップが必要です。
こうして、多くの話題を集めてフォーラムが終わりました。







6.パリ市当局との打ち合わせ

photo07.jpg翌日は、午後からパリ市当局へイベントの打ち合わせ に上がることになりました。事前にGadと会い、交渉の戦略を練ります。
パリ市で対応していただいたのは34歳で国際担当の副市長になったばかりのパトリック氏。「アンヌ・イダルゴ市長からイベントについてはすべて聞いている。パリ市としては全職員で市を上げてイベントに協力するつもりだ。」という期待以上のお言葉をいただきました。
「公園内での物産の販売はOK、ロゴの露出もOK、ただ、そのやり方には工夫が必要だ。物産の販売はこちらからお願いしたいくらいだ。」「パリ市のロゴの使用もOK、福島県、宮城県、岩手県と並べてもらいたい」「東北復幸祭〈環WA〉のPR はパリ市としても行う。パリ市の電光掲示板やホームページに掲載し、Twitterにも載せる。プレスリリースも出す。」「パリ市長の挨拶、パリ市のブースの出展は前向きに検討する。」「イベントについては何ら心配することはない。」ということでした。




7.クレアパリ・黒瀬所長と

photo08.jpgパリ最終日、前日にクレアパリ(自治体国際化協会)の黒瀬所長から、是非会いたいというメールが入り、急遽事務所を訪問することになりました。
黒瀬所長からは、フォーラムでの成功とプロジェクトが順調に進んでいることについてお褒めの言葉をいただくとともに「現段階でパリ市民を巻き込むのは難しい、もっともっとアイディアが必要だ」とし、いろいろなアイディアをいただきました。
パンフレットの重要性、3 県の協力のあり方、日本酒の取り扱い方、日本青年会議所との連携、パリ市民に受ける日本文化の中身、などについてアドバイスをいただきました。「イベントがゴールになるのではなく、イベントの中でこれからやりたい中身の種をまいていく」という貴重なお言葉もいただきました。





8.おわりに

photo09.jpg一連のフォーラムに参加させていただいて、痛感したのは私たちのOECD東北スクールをここまで取り扱っていただいているのは、多くの方々の血のにじむような努力の成果だということです。プロジェクトは生き物です。それを縦横斜に、多重層に人々をつなぐ作業なしにはこのような成果を得ることはできません。 私たちはこの多くの努力に対し、感謝の言葉を述べればすむのではなく、まさしく行動で応えなければなりません。勝ってもいないのに「勝って兜の緒を締めよ」というのもヘンですが、今だからこそ謙虚に誠実にがんばることが必要になっていくことと思います。
期間中、イベントの中身、「100の物語」、子供大人熟議、ブース、教育研究などについて深く話し合う機会を持つことができましたが、いずれも帰国してすぐに取り組まなければならないことばかりです。黒瀬所長が「イベント空間を異空間に」とおっしゃっていましたが、これから残された「4か月足らずを異次元の体験」にしなければならないと思いました。
最後に、訪仏前から日程のすべてにおいてOECD日本政府代表部村尾書記官、OECD教育局の田熊様、運営事務局パリ支局の古田様には、細かい心配りから急な日程変更への対応まであらゆる面においてサポートをいただきました。
この場をお借りして御礼を申し上げます。

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